『野蛮な時代』出版記念会が東京で盛大に開かれる

『野蛮な時代』出版記念会が東京で盛大に開かれる

韓統連の名誉回復と国家保安法廃止を


 韓統連50年の闘争の歴史と不当な弾圧を描いた金ジョンチョル元ハンギョレ記者の著作「野蛮な時代」(韓国版「野蛮の時間」は2023年発刊)日本語版の出版記念会が11月29日、東京都内のホテルで開催された。各界の日本人と在日同胞あわせて70人が参加した。

 最初にビデオ「1973年韓民統結成」が上映された。参加者は画面に映し出された韓民統結成当時の映像を見ながら、あらためて韓国独裁政権打倒闘争における韓民統の偉大な業績を認識した。

 次に出版記念会の呼びかけ人を代表し、孫亨根韓統連議長が祝辞を述べた。彼は本の出版を祝賀しながら本書について「韓統連に関する百科辞典」と評価した。また本書を通じて韓統連に対する不当弾圧の内実を詳しく知ることで名誉回復運動の大きな力になると述べた。


 日本の各界から祝辞が続いた。

 社民党幹事長の服部良一氏は「金大中氏が大統領になっても韓統連問題は解決しなかった。それは国家保安法があるからだと考える。韓国民主化に貢献した韓統連が未だに反国家団体として扱われ、孫議長には旅券さえ出ていない。このような状況を打開するために私たちは一層努力したい」と述べた。

 新社会党の岡崎ひろみ委員長は、「新社会党は韓統連とはいつも行動を共にしている。韓国の出来事に日本も関わっていると同時に、日韓両国は歴史でも関わっている。本書を通じて韓統連の歴史を詳しく知ることができる。歴史は知るだけで終わらない。歴史のなかで起こった不当な弾圧が今も続けられているなら、それは是正していかねばならない。ましてやそれが、私たちの隣人である韓統連に関していることであるなら、なおさら弾圧を止めさせることに尽力しなければならない」と述べた。

 祝杯のあと、歌手の右田春夫氏が「常緑樹」と「朝露」を韓国語で熱唱した。


 次に「野蛮な時間」の著者である金ジョンチョル氏が発言した。

 彼は「韓統連問題は盧武鉉政権時に全て解決されたと思っていたが、全くそうではなかった。そこで当時、日本への出張の際に在日同胞の良心囚とは別に韓統連を取材しようと心に決め、孫亨根議長に別途インタビューを依頼した。韓統連に関する記事は連続2週にわたりハンギョレで報道した。そのたびに新聞紙面3面ずつをぎっしり埋めた。当時ハンギョレ土曜版カバーストーリーで報道した最初の記事のタイトルは『反国家団体の汚名を晴らして笑顔で韓国に行きたい』であった。

 当時は文在寅政権下であったため、こうした報道によって、もしかすると旅券問題などが解決されるかもしれないと期待した。紆余曲折の末、孫亨根議長を除いた残りの韓統連関係者は5年有効のパスポートは発行されたものの、 それが文在寅政権の限界だった。

 こうした状況を見て、新聞に一、二回記事を書くだけでは不十分だと考えた。歴史的文脈を正確に示し、体系的に記録することが重要だと気づき、本を執筆しようと決意した。ちょうど2022年に定年退職を迎えた。退職後すぐに執筆に着手した。第2期真実和解委員会の活動が終了する前に本を出版するつもりだった。韓統連に対する反国家団体規定がいかに誤ったものであるかを知らせ、真実和解委員会が正しい判断を下すようにしたかった。尹錫悦政権の真実和解委員会構成を見ると、その希望が叶わなかったことは確かだが、それでも次期民主政権が誕生した時、この本が真実を明らかにするのに役立つと確信した。

 本を書く過程で私は多くを学んだ。韓統連に関する歴史的事実と真実を知れば知るほど、海外におられる皆様に申し訳なく思った。過去の独裁政権時代に韓統連(韓民統)に押し付けられた反国家団体という足枷が、今も解かれていないという点が、どうしても恥ずかしく、痛ましい限りだった。韓国が民主化を達成してから、再来年で早くも40年になる。民主化以降、国内では過去の独裁政権下でスパイ扱いされるなど迫害を受けた人々が名誉を回復しただけでなく、過去の苦難を糧として国会議員や長官、国務総理、さらには大統領まで務めるなど社会的栄光を享受する者もいた。

 しかし韓統連と韓統連の方々はいかがでしょうか? 海外で最も熾烈かつ長期にわたる民主化運動を繰り広げたにもかかわらず、栄光や報いはおろか、名誉すら回復できていない。これは同じ民族共同体の構成員に対する礼儀ではなく、社会的・歴史的正義とはなおさら言えない。このような状況はあってはならないという思いから、韓国に住む構成員たちに本を通じて訴えたいと思った。韓統連の痛みを無視し、不名誉な反国家団体のレッテルをそのまま残すのは道理にかなわないと思う」と述べた。参加者は金ジョンチョル氏の韓統連への愛情のこもった発言に賛同の熱い拍手を送った。


 次に、韓統連の完全な名誉回復と帰国保障のための汎国民委員会の執行委員長であると同時に本書の翻訳者でもある林ジョンイン氏が発言した。彼は「私は30年以上、韓統連の名誉回復のために活動してきたが、韓統連は反国家団体ではないと確信している。歴代の独裁政権は民主化と統一のために運動している韓統連を弾圧するために反国家団体と言っているのにすぎない。それが今まで続いているということだ」と述べた。続けて林氏は韓統連の名誉回復のための課題について「旅券問題では韓統連メンバーに発給されたのだが、未だに孫亨根議長だけは発給されていない。それを解決するために努力する。次に韓国政府が韓統連に対し50年間、不当な弾圧をしてきたことを認定し、国家賠償を行われなければならない。そのために全力を尽くす決意だ。皆さんには、その方針を理解するために本書を読んでくれるよう強くお願いする」と述べた。

 続いて、全国労働組合連絡協議会の渡辺洋(ひろし)議長、韓国良心囚を支援する全国会議の渡辺一夫代表、朝鮮学校無償化に反対する連絡会の長谷川和夫(かずお)代表など、各界代表からの祝辞が続いた。

 最後に孫亨根議長がまとめの発言を行った。彼は「今、韓統連と私が感じている苦しみや無念さは今日、金ジョンチョル氏と林ジョンイン氏が代弁してくれた。この発言によって皆様も韓統連問題に理解を深めたと確信します。あとは名誉回復に向けて行動するだけだ。年内に私の旅券申請を行う。そして「反国家」規定の解除、国家保安法撤廃に向け全力を尽くしたい。このような今後の韓統連の運動に同胞はもちろんのこと、韓国の民主化と日本の民主化は密接に関連しているので日本の友人たちにも理解と支援を心からお願いしたい。共に韓国の民主化を前進させ、日本の右傾化も阻止していきましょう」と述べた。参加者全員が孫議長に万雷の拍手を送る中で、熱気のうちに出版記念会は幕を閉じた。


 また、この出版記念会は統一ニュース、ハンギョレでも記事が掲載された。

“야만의 시간” 일본어판 출판기념회 성황(統一ニュース)

한통련 아픔 다룬 ‘야만의 시간’ 일본어판…“박정희의 ‘반국가단체 조작’ 50년 고통 이젠 해결해야”(ハンギョレ)

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