記事紹介 - 韓統連、東京で新春情勢討論会を開く(統一ニュース)
2月15日、東京で在日韓国民主統一連合(韓統連)が新春情勢講演会を開催し、統一ニュースで記事が掲載された。日本語訳を掲載する。
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講演を行う孫亨根・韓統連議長 |
尹錫悦が弾劾訴追、拘束されるなど、激動する韓国情勢に国際社会の関心が高まるなか、2月15日、東京で在日韓国民主統一連合(韓統連・孫亨根議長)は新春情勢講演会を開催した。
今回の新春情勢講演会は、代表的な日本人の反戦平和運動家の一人である藤本泰成顧問と孫亨根議長の講演を通じて、韓国情勢を深く認識すると同時に、どういう視点をもって今年の共同の平和運動を展開するのかという共通点を模索する目的で開催された。
最初に平和・人権・環境フォーラム(平和フォーラム)の藤本泰成顧問が「日本と朝鮮半島を結ぶ」の題目で講演を行い、平和問題と歴史問題に対する所信を明らかにした。
藤本氏は「朝鮮戦争の停戦協定に早期に平和協定締結のための協議を開始しなければならないと明記されているにもかかわらず、米国は協議を開始しなかった」とし、その理由を、「米国が中国とロシアをけん制するために韓国と日本での軍事的なプレゼンスを必要としていたからだ」と分析した。藤本氏は今も基本的には同じ状況であるとし、「朝鮮戦争が終結すれば韓国と日本の駐留米軍の存在の意味がなくなる」と述べ、「しかし、文在寅大統領が朝鮮半島終戦の宣言をやろうとした時、『終戦宣言は時期尚早だ』」と妨害したのは日本政府だった」と述べた。また藤本氏は日本が日米韓軍事演習に参加していることに触れ、「北朝鮮を敵視するこのような動きが朝鮮半島を緊張させている」と批判した。藤本氏はいつも米国の顔色を伺っている日本政府の言動を批判しながら、日本政府はもっと平和のために自主的に動くべきだと強調した。
藤本氏は「今、日本は東京都知事が関東大震災・朝鮮人虐殺への追悼文を送らなかったり。群馬県知事が『記憶、反省、そして友好』」という題字の立派な朝鮮人追悼碑をブルドーザーで破壊するような酷いことを行っている」とし、これは「明らかに歴史修正主義であり、ほんとうに嘆かわしいことだ」と述べた。藤本氏は過去、日本人は福沢諭吉の「脱亜論」に示されるようにアジア人を蔑視してきたが、それを今の日本人が、未だに克服していない点が大きな問題点であると指摘した。藤本氏はつづけて「日本の学校教育で歴史を正しく教えていない。たとえば、日本はどこと戦争して、敗戦したのかと質問すると、子供たちは『米国』としか答えない。実際は、日本は中国とも戦争して負けたのに、そのことを明確に教えていない」と日本の歴史教育の欠陥を指摘した。
藤本氏は戦後、日本政府は「一億国民総ざんげ」を呼びかけたが、これは戦争を推進した者たちの犯罪を希釈する目的で意図的に喧伝したものだったと指摘した。藤本氏は「国民が謝罪するまえに、戦争を起こした人達が懺悔し、責任を取るべきである。ドイツ国民が『ナチが悪かった』と明確に認識し、今でもナチ犯罪人を徹底的に追跡しているのと比べると、大きな違いがある」と述べた。
藤本氏は「戦時中、日本の軍隊のなかで下級兵士をいじめて殺した軍幹部が多くいたのに、そういう犯罪人が何の罪も問われずに、戦後は自衛隊員になっている。また戦前、特高警察(公安警察)の幹部は 社会主義者や朝鮮人を弾圧し、殺したが、戦後は、そういう奴らが出入国管理事務所の職員となって、平気で韓国人を虐待し、強制送還する仕事を行っている」と指摘したうえで、「これが日本の今の姿だ。日本は戦前と戦後は何も変わっていない。そこをちゃんと直視し、もう一度日本を作り変える必要性を感じている」と自戒を込めて述べた。
藤本氏は「私は平和フォーラムの最重要な課題として在日朝鮮人の人権にこだわってきた。在日朝鮮人の人権を守ること、差別をなくすことが、戦前の問題を克服し、新たな日本を作ることにつながるという考えているからだ」と述べた。
藤本氏は去る2月8日、自主性を発揮して朝鮮との国交正常化すること、朝鮮戦争を終結をさせて、恒久平和を実現すること、在日朝鮮人の人権を擁護することを目的に「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」(日朝全国ネット)の結成式を東京で行ったことを紹介し講演を終えた。
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講演する藤本康成顧問 |
次に孫亨根・韓統連議長が「 尹錫悦罷免と韓国政局の展望」の題目で講演した。
孫議長は警察に押収されたノ・サンウォン元情報司令官の手帳などから明らかにった12・3内乱事態の実相について「尹錫悦、金ヨンヒョン、ノサンウォンらは12・3非常戒厳令のもと韓国軍を動員し尹政権に反対する各界各層の500名を連行拘束し、そのうち数百名を殺害するという大規模かつ残忍な計画を実行しようとしていた」と解説した。更に「休戦線の近くに連行した人々を殺害し、それを北朝鮮の仕業に見せかけようとする計画まであった」と尹錫悦らの陰謀の内容を明らかにした。「しかし、非常戒厳令発令の直後に国会周辺に緊急に集まり、戒厳軍の暴挙を阻止した市民たちの勇敢な行動によって、12・3内乱は失敗した」と述べた。孫議長は「民衆の闘いに直面し危機に陥った尹錫悦が、自己の政権と親米保守体制を守るために、憲法違反の非常手段を発動し、失敗した事件だ」と12・3内乱事態を規定した。
孫議長は1・19裁判所襲撃など極右勢力が、尹錫悦擁護を掲げて激しく乱動している現在の局面は「極右は、12・3非常戒厳令の失敗によって危機に陥った親米保守体制の全面崩壊を必死に防ごうとしている」とし、「われわれは極右の乱動を全力で阻止しなければならない。そのためには極右と一体となっている国民の力を解体させることが重要だ」と述べた。
孫議長は今後の政局展望について、「国民の多くが、早期の尹錫悦大統領罷免を求めて立ちあがっており、3月中の罷免決定を確信している。そうなれば5月中に大統領選挙が行われる」と述べた。更に「万が一、罷免が不成立だった場合には、基層民衆とともに中間層の人々も今以上に尹錫悦打倒闘争に立ち上がるだろう」と予測し、「韓国政治に大きな影響力をもつ米国は、韓国国民の闘争が更に強化される事態を望んでいないだろう」と尹錫悦罷免決定の可能性がきわめて高いことの背景を説明した。
孫議長は現在、多くの市民社会団体が、社会大改革を掲げて闘争を強化発展させてようとしていること、特に民衆生存権擁護の闘いを強化しようとしていることに全面的支持を表明した。
講演の最後に、孫議長は特に国家保安法廃止を切実に訴えた。孫議長は日帝が1925年治安維持法を制定して、今年100年になると指摘したうえで、「日帝は日本人に対する以上に、多くの朝鮮人に対して治安維持法を適用した歴史を想起しよう」「この法律によって多くの朝鮮独立運動家が処刑され、極中死した」と述べた。次に孫議長は国家保安法が治安維持法を母体に制定されたことに留意することを参加者に訴え、最後に「日本が作った治安維持法によって韓国人は、100年間も苦しめられている」と強調した。
この日の講演会には在日同胞と政党、団体、労働組合など各界の日本人人士が集まった。
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